【そのままで良くない?】抜けたまま奥歯を放置した場合のリスクを解説|費用を抑える方法も

歯周病で勝手に歯が抜けた…」

虫歯で歯を抜かれた

歯を失う理由はさまざまですが、奥歯を失った方の中には「奥歯って見えないし、いま噛めるからこのままでいいのでは?」と思う方も多いのではないでしょうか。

しかし、奥歯が抜けたまま放置すると、思わぬリスクを生むことになります。

今回は、歯科に10年以上勤務し、2,000人以上の方の相談に乗っていた筆者が「抜けたまま放置するリスク」と「ご自身に合った治療方法の選び方」について解説します。

「治療も面倒だし、お金がない」などの理由で、治療を迷っている方にリスクについて知っていただき、最適な選択肢を選ぶ参考にしていただけたら幸いです。

目次

奥歯を抜歯して、そのままにした場合のリスク

抜歯をしたまま放置した場合のリスクには、以下のようなものがあります。

  • 他の歯が動く
  • 他の歯に痛みが出る
  • 治療が大変になる
  • 更に抜く歯が増える

それぞれ詳しく解説します。

他の歯が動く

隣接していた歯や、嚙み合っていた対合の歯が、だんだん移動してきます。

歯は本来、隣同士の歯とピッタリくっついていることや、上下で噛み合うことで、そのポジションを維持しています。つまり、隙間が出来たり、噛み合う歯が無くなった場合、そのポジションを維持できなくなり、今生えている場所からズレていってしまいます。

歯は一本ズレると、全体のバランスが崩れていきますので、歯並びがおかしくなったり、しっかり噛めなくなるというリスクがあります。

他の歯に痛みが出る

例えば左下奥歯を失った場合、左側は噛みにくいため、右側で噛みたくなるのが本能です。

右側で噛む頻度が増えた場合、よく使っている歯はどんどん消耗していきます。消耗した歯は急に痛みがでたり、最悪の場合、割れたりといったリスクがあります。

治療が大変になる

放置したことで治療期間が空いてしまったり、他の歯に痛みが出てから治療する場合、抜歯直後に治療するよりも、治療期間も治療内容も大変になることがほとんどです。

具体的には、抜いた部分だけの治療でよかったものが、周りの歯も削る必要が出たり、神経をとるような深い治療になったり、治療回数も費用も余計にかかってしまうリスクがあります。

更に抜く歯が増える

他の歯の痛みが強い、あまりに本来の位置から動いてしまっている、などといった場合、抜かなけらばならなくなるリスクがあります。

歯は残っている本数が少ないほど、選べる選択肢が少なくなっていきますので、他の歯に影響が出てしまう前に、抜いたらすぐ治療を開始するようにしましょう。

歯を抜いた後の選択肢は3つ

歯を抜いた後の選択肢は、以下の3つです。

  • ブリッジ
  • 入れ歯
  • インプラント

それぞれの概要とメリット・デメリットを詳しく解説します。

ブリッジ

ブリッジとは、抜いた歯の両隣(一番奥の7番目の歯を抜いた場合は前の2本)の歯を小さくなるまで削り、3本を繋げた形の被せ物を指します。

ブリッジの土台となる歯の神経を取らなければいけない場合と、削るだけで済む場合があり、歯の状態などによって必要性は異なります。

メリットには、

  • 保険がきく
  • 着けっぱなしで済む

デメリットには、

  • 歯を削る必要がある
  • 詰め物の下に食べ物が詰まる
  • 銀歯になる

などが挙げられます。

ちなみに「差し歯」という言葉をよく耳にしますが、歯が抜けた場合「差し歯」はできません。差し歯とは、歯が残っている部分に使用するものを意味するため、歯が無い部分には使用しませんので覚えておきましょう

入れ歯

入れ歯とは、歯を抜いた部分の型取りをして、歯のない部分に「はめ込む」タイプを指します。

特殊なケースを除き、他の歯を大きく削ったりする必要がないことが特徴です。

メリットには、

  • 保険がきく
  • 他の歯を削らない
  • 治療期間が短い

デメリットには、

  • 自分で毎日着脱する必要がある
  • 下に物が詰まる
  • 合わないと痛い

などが挙げられます。

インプラント

インプラントとは、抜けた部分にボルトのような物を打ち込み、そこに人工の歯を装着するというものです。自由診療であるため、歯医者ごとに治療費用が異なり、1本数十万円という高額な治療です。

メリットには、

  • 自分の歯のように使える
  • 見た目がきれい

デメリットには、

  • オペが必要
  • 治療費が高額
  • 治療期間が1年以上になることも

などが挙げられます。

【優先項目別】治療方法の選び方のポイント

それぞれのメリット・デメリットをお伝えしましたが、まだ決めかねるという方も多いと思います。ここでは、優先したい項目別に、おすすめの選択肢を解説します。

優先項目は以下の通りです。

  • 費用を抑えたい
  • 通う回数を少なくしたい
  • 自分の歯のように使いたい

費用を抑えたい

費用が安い順は、以下の通りです。

  1. 入れ歯
  2. ブリッジ
  3. インプラント

費用が一番抑えられるのは「入れ歯」です。

1本~3本程度を補う部分入れ歯であれば、3割負担でおおよそ5,000~7,000円といったところでしょうか。

次に費用が抑えられるのは「ブリッジ」であり、神経を取らない治療と仮定した場合、おおよその費用は、3割負担で15,000~20,000円程度です。神経を取る治療が必要な場合、治療回数によっても異なりますが、30,000円以上になることが多いです。

前述のように、インプラントの場合は保険が適応されず、1本数十万円という費用がかかるため、費用を抑えたい人には向きません。

したがって「入れ歯は嫌だけど、費用も抑えたい」という人の選択肢は「ブリッジ」ということになります。

通う回数を少なくしたい

通う回数は少ない順は、以下の通りです。

  1. 入れ歯
  2. ブリッジ
  3. インプラント

通う回数が一番少ないのは「入れ歯」です。

入れ歯の場合は、口の中の型を取るだけで作成することができるため、完成までの通院回数は2回~多くても3回程度です。

ブリッジの場合、神経を取らなければ、通院回数は2回程度で済みます。しかし、神経をとる場合には、4回~5回、それ以上かかるケースもザラにあるので、通う回数はケースバイケースです。

インプラントの場合、オペの後では経過観察に毎週通う必要があったり、少なくとも完成までの1年間は毎月通う場合もあったり、ということから、通う回数を少なくしたいという人には向きません。

自分の歯のように使いたい

自分の歯のように使える順は、以下の通りです。

  1. インプラント
  2. ブリッジ
  3. 入れ歯

インプラントの噛み心地は「選択肢の中で、最も自分の歯に近い」と言われています。

治療期間の長さや、費用がかかるという側面がありますが、自分の歯のように使いたいという方は、インプラントをおすすめします。

ブリッジは、ご自身で取り外すものではないため、口の中に入れっぱなしで使える、という意味では自分の歯に違い部分があります。ただし、前述のようにブリッジの下に食べ物が停滞しやすいこともあり、気になる方もいらっしゃいます。

入れ歯の場合は、毎日の着脱が必要なため「異物を入れている」という感覚が消えない方もいます。また、噛み心地もご自身の歯とは違うと感じる方が多く「自分の歯のように使いたい」という意味では、最も遠い選択肢と言えます。

抜けたまま放置するリスクを理解して、自分に合った選択肢で治療をしよう

奥歯が抜けたまま放置することによって、他の歯への影響や痛み、治療が大変になるなどの大きなリスクがあります。

歯を抜いた後の選択肢には、入れ歯・ブリッジ・インプラントがあり、それぞれのメリットとデメリットが異なります。

入れ歯ブリッジインプラント
メリット最も安価通院回数が少ない保健適応取り外さない自分の歯のように噛める
デメリット毎日取り外す他の歯を削る高額
費用
通院回数
自然な嚙み心地

上記の表のように、入れ歯とインプラントでは優先項目によっては対局にある選択肢と言えます。ブリッジに関しては、比較対象として秀でた特徴こそありませんが、双方の間を取った選択肢と言えます。

歯医者に10年以上勤務していた経験から、私がお伝えできることは「放置していた方は後々必ず後悔している」ということです。

放置してしまう理由はさまざまあると思いますが、絶対に放置せず、自分で納得できる選択肢で治療を進めていきましょう。

また、今回記載している治療費用は通院回数はあくまでも目安であり、お口の中の状態や歯医者によって違いが出る場合がありますので、治療開始前にあらかじめ確認するようにしてくださいね。

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